葭を見直す旅~近江八幡へ
素材を訪ねる旅の企画第3弾目「葭を見直す旅~近江八幡へ」
と題して、節約を意識するこの時期に見直されている素材
すだれやよしず、夏建具の素材となる葭を訪ねに行きました。
葭生息地 琵琶湖の西の湖に面する円山町。
葭と農業による生活に密着した環境保護で重要文化的景観として
第一号に選定された地域です。水郷と葭原が続く風情ある場所。
建築素材としての良質な葭が自生しています。
葭の地主で葭博士と呼ばれる西川嘉廣様と嘉武様にご案内していただき
葭の生息や一年を通しての生産過程、材料としての知識をお話いただきました。
たとえば、
◎茅葺きでも葭葺きは材料の持ちがよく、虫がつきにくい為最高級といわれている。
◎ 葭を刈り取ってから100~200年寝かせても品質が変わらない材料として使える。
◎ 毎年成長し刈り取る為、循環する枯渇しない環境的に優れた材料である。
◎ 大量の水を要して成長するが、毎年刈り込むことで水の浄化作用がある。
◎ 沢山の生物が巣をつくり生態系の保全に役立っている。 などなど。
西の湖の葭原を大切に守り、伝え継ぐ想いを強く感じ日本の原風景や素材を
残していくには、このような方々のチカラが必要なことを痛感しました。
午後には、よしずやすだれを加工販売する株式会社タイナカの工場見学へ
20年以上前に収穫した葭も倉庫に保管されています。
毎年葭の質が違い、この数年は質の良い葭が収穫出来ないようで
環境の変化にとても正直なようです。
西川先生のお話にもありましたが、環境を壊すことは一瞬だが、再生する
には数十年の年月が必要だと。。。
人間の都合で簡単に壊してはいけない事が沢山ありますね。
加工工場ではすだれを脚踏みの機械を使って1本1本編んでいました。
注文を受けてから製作を行うとのこと。幅や長さなどオーダーに答えて
くれます。
手作りならではの風合いを感じます。
節や穂先を見ながら編んでいくので、しっかりと長持ちする出来映えです。
ホームセンターでは中国産の格安のすだれが流通していますが、質や寿命が
2~3倍以上違ってくるのがこのように作る過程を知ると良くわかります。
今年の節電効果もあり、フル稼働で忙しい様子が嬉しく映りました。
そんな中に団体でお伺いして申し訳ございませんでした。
猛暑日だったので会長様のお気遣いで隣接するお宅へ避難。
冷たいお茶を頂きながら葭のお話を伺いました。
中空なので、虫が着きにくく乾燥しやすいのが特徴。
良い葭は粘りがあることや、関西と関東では簾戸の作りが違うなど
建材として興味深いお話が聞けました。
国産葭は高級素材と思われがちですが、この様に直接加工会社と繋がる
ことで、オーダーが可能な手に届く材料であることを知り、私たちが積極的に
使っていくことが、地域や環境の保全にも繋がっていることを実感しました。
株式会社タイナカ
2011.07.21 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 素材のふるさとを訪ねて
