ストックホルム アスプルンドに触れる~北欧の旅~
スエーデンの首都ストックホルムに夕方到着したその足で
ストックホルム市立図書館へ向かいました。
1928年に建設された、エーリック・グンナール・アスプルンドによる作品。
北欧デザイン建築の父 として敬われている著名な建築家です。
正面入口を入るとエジプト文様の黒い重厚な内装からまっすぐ
延びる階段が見えます。
光に導かれるようにゆっくり登っていくと広がる円形の明るい大空間。
3層分の色とりどりの本が美しいインテリアとなり、
本棚の上部には白いしっくいの壁に光が降り注ぎ、ゆるい凹凸部分に
あたる光がきらめきと影をつくり出し、静寂と相成ってなんともいえぬ
神々しい空間となっています。
本の背表紙が並ぶことがこんなにも美しいとは
本棚の後ろには吸音材が隠されていました。
円柱の大空間の横にはそれぞれ違った表情の図書室となっています。
黒いフレームがアクセントとなる部屋。
大きな窓から公園の緑が見えてきます。
水飲み場も彫刻的に創られています。
反対側は対照的な白い図書室。
境界線の無い様に見える天井のカーブや螺旋階段の曲線が
美しく優雅な佇まいです。
アスプルンドの作品に触れ、
感動と共に旅の目的でもある建築魂が目覚める瞬間でした。
次の日、続いて訪れたのは「森の墓地」
1994年世界遺産に登録されたアスプルンドの壮大なランドスケープ作品。
メインゲートからずっと延びる芝生と石畳の奥に十字架が見えてきます。
十字架と楡の木 青い空 以外何も無い風景に佇むとすぅーと心が洗われます。
楡の木で囲まれた場所、「瞑想の丘」 無風、無音の中、ゆっくり登っていくと
生と死の境界線が無くなり、私自身の魂がゆっくり昇天しているような感覚に。。。
心の深層に刻まれる不思議な体験をしました。
火葬場と礼拝堂が一本道で繋がっています。
礼拝堂に隣接する火葬場と家族待合所。
2つある待合所それぞれに中庭を配置され外部から守られた控えめな造りで
家族の悲しみを鎮静する場所となっています。
森の木立の中に点在するお墓、人も終焉後は自然に帰り、自然の一部に
なっていくのだな。と感じました。
時間が止まったような森の墓地に佇むと、これからどのような人生を送り
魂が離れる瞬間をどのような気持ちで向かえるのだろうか。
この場所に佇んでいるこの穏やかな気持ちで向かえることが出来るように
これからの人生を生きていきたい。と心に感じ、 そんな気持ちにさせる
「森の墓地」 場所の持つ清らかなエネルギーの凄さを感受しました。
2012.05.29 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 建物・ショップ探訪
